金光のつぶやき

上海ブラックプール観戦記

2017/09/25

上海ブラックプール観戦記


2017/8/21/22


今年は最高気温40度超えを記録した上海。上海国際空港に降り立ち、タラップに足を掛けた途端に襲ってくる熱気に、一瞬東南アジアの島国に来たのかと錯覚してしまう。

空港自体は上海周辺に二つあり、羽田からは虹橋空港という市内に比較的近い空港を利用する事になるので便利である。

ホテルにチェックインし、スーツに着替えいざ出発。ところが急に空模様が怪しくなり突然のスコールに。上海の夏にはよくあるとの事。日本の夕立ちみたいなものか、すぐに止み雲の切れ間から酷暑を思わせる厳しい日差しが差し込みはじめる。

 



試合自体はジュニア、ユース、アマチュア、ライジングスター、プロなど非常に沢山のカテゴリーに分かれており、18日の金曜日から22日の火曜日まで5日間に渡って行われている。本日21日のメインイベントのプロボールルーム、アマチュアラテンの開始時間まで余裕があったので、上海観光地の代名詞、Bund(外灘)へ足を延ばす。川沿いに並ぶ圧倒的スケールの高層ビル群と、そこかしらにはためく五星紅旗。日本を超えるGDPを誇る中華の国力の一端を垣間見たように思う。


会場は昨年初めて上海ブラックプールがおこなわれた市内のアリーナではなく、宝山体育館という上海では少し北に外れた場所になり、ちょうど帰宅ラッシュの渋滞に巻き込まれ車で1時間もかかってしまう。世界中どこに行っても渋滞だらけ。インドネシアでは道路の面積よりも車の数の方が多いという、それでもフォルクスワーゲンやトヨタは年間1000万台売り上げる。矛盾してる。

到着して会場に入る段になってトラブル発生、チケットを持ってないのである。ブラックプールのチェアマンであるマーカスヒルトン氏との口約束で、来たら入れてくれるとの話だったが、マーカス氏は当然中で試合の進行を司っている。一方我々は体育館の外で屈強かつ英語の通じないセキュリティと睨めっこ。完全に準備不足である、、、 

仕方なく現地で我々をアテンダントしてくれているS氏が近くにいるダフ屋の元へ。短い交渉の末、手にはチケットが。日本円で一枚約5000円のチケットがなんと500円に。聞くところによると、このような大会のチケットは軍や党に大量に出回り、その一部がダフ屋に流れて来て、あまり人気の無いイベントは叩き売りのような値段になるとの事。いやはや中国おそるべし。

中に入ってグランドフロアに降りるまでも一悶着、余りに長くなるのでここは割愛。



5000人は入ると思われる綺麗なアリーナ、フロアの中央上部に設けられた巨大なスクリーン、ブラックプールでお馴染みのエンプレスオーケストラが鎮座する豪華なステージ、そしてチェアマンのマーカスヒルトン氏、ずらりと並んだワールドクラスのジャッジ達。

なのに、観客席はガラガラ、本当に少ない。2~300人くらいだろうか、なんともったいない。 



アマチュアラテンが始まる。少ない、、

出場組数約50組、ヨーロピアンは約10組、その他韓国から5組ほど。11人ジャッジのうちアジア人はジェイパーク氏1人だけ。

セミファイナルに中国人4組、韓国人3組、ヨーロピアン5組の内訳。5月に英国でおこなわれたブラックプールのファイナリストは1組もおらず、セミファイナリストもサウスアフリカのハモンド組が1組だけ。中国の選手も中国アマチュアチャンピオンを始め、何組かのトップ選手は出ているものの明らかに半分の選手も出場していない。これをブラックプールと呼んでいいのだろうか。ファイナルには中国人2組進出するも、最後まで盛り上がりに欠ける試合だった。



平行しておこなわれたプロボールルームでは出場組数24組。1次予選はほぼフリーパスで、約半分に絞られたセミファイナルにヨーロピアンが7組、中国人が5組進出。日本からも唯一藤田組が参戦し果敢にトライしていたがセミファイナルには残れず。

ファイナルには招待選手のギジャレリ組とクラペッツ組を含むヨーロピアンが5組に中国人2組の7組が選出された。アマチュアラテンに比べるとそれなりに盛り上がりはするものの、会場のキャ パに対する人間の数の絶対数が足りないせいか、空盛り上がり感が否めない。更に出場選手が少なくラウンド間が短いせいか、はたまた暑い中いきなり4種目連続で踊っているせいなのか、皆バテ気味の様子。そんな中やはり世界のトップファイナリストの2組はコンスタントに踊り続け、他のファイナリスト達に比べても群を抜いているように思われる。どんな試合でもそうだが、特に慣れない海外の地で試合に出場し、自らのベストコンディションを常に発揮して踊ることは至難の技である。世界中転戦しているトップ選手の身体の強さとベストを尽くそうとする気概、タフさを目の当たりにし、改めてテクニックだけではなく、フィジカルとメンタルの重要性に気付かされる。

11時を少しまわった頃、全てのプログラムが終わり、無事主催者から翌日のチケットをいただき会場を後にする。




日付変わって22日、午前中の時点で外気温は33度、今日は暑くなりそう。

上海高島屋にあるチャコットの店舗を視察したあと、

量り売りの紹興酒を片手に上海料理に舌鼓を打ち、早速会場へ。今回はすんなり中に入る事が出来、ひと安心。会場内は昨日よりも観客が入っており、4~500人はいる様子。世界チャンピオンであるコッキ組が出場するおかげなのか、、

アマチュアボールルーム部門、出場者数22組。あの大量のチャイニーズカップルはどこへいったのか。ファイナルにはイタリアとデンマークから1カップルずつ、残り4組は中国人が進出。いつの間にやらグランドフロアには沢山の子供達が、驚いた事にみんな片手にスマホを持ち、動画撮影しており、それを注意する人もいない。パンフレットにはNO VIDEOと書いてあるよね。席が空いていれば最前列のホワイトテーブルにもジャージ、ジーンズで平気で座り、置いてある水を勝手に飲む。おいおいそれ俺の水だし、、 


プロラテン部門には27組がエントリー、日本人の名前は無し。他のアジアからは台湾の選手がチラホラ。

1次予選、2次予選、セミファイナル、ファイナルの計4ラウンド。2次予選から5種目連続して踊るという中々ハードなコンペ。

セミファイナルにはオーストラリア、ロシア、モルドバ、アメリカ3組 中国6組の構成。さすがに世界チャンピオンのコッキ組、世界第3位のフレカターヌ組の踊りに会場が沸き立つ。中国人カップルもトップ4のうち2組しか出場しておらず。後ほど事情を聞いたところ、中国も日本と同じような状況で、中国全土に30以上もの団体があり、NDC for China で表面上はある程度まとまっているものの、この団体が手伝うなら、うちは手伝わない。このアカデミーが選手を出すなら、違うアカデミーからはエントリーが無い。などの複雑な事情により、前回の1回目よりも総エントリー数でおよそ半分くらいになったということ。チケット収益も見込めず、イングランドからジャッジやバンドを招聘し、大幅な赤字は間違いないのではと質問を何人かの友人にぶつけたところ、今回からアリババグループのアリスポーツがメインスポンサーについたとの事。アリババとはアマゾンをも凌ぐ中国のネット商取引の会社であり、世界最大の企業とも言われている会社。そんな会社のスポーツ部門がバックアップにつけば、それはもうなるほど、納得。

 


上海ブラックプール2017 最後のファイナルはプロラテン部門。

世界トップのコッキ組、フレカターヌ組に加えて、子供を出産してからカムバックしてきて今年のUK戦でセミファイナル入りしたアメリカのサルーナス組、昨年の上海ブラックプールでも決勝入りしており、最近イングランドからロシアに国籍を戻したソバエフ組、そして中国からアレックス組とワンジー組の6組によるファイナル。決して派手ではないが素晴らしいレッグアクションとパーフェクトなバランスで踊り続けるフレカターヌ組のマリーナから目が離せない。常にパフォーマンスもクオリティを落とさず最後まで一番元気に踊り切るコッキ組はまさに超人。アレックス組も普段イングランドで見るよりも随分とアクティブに感じられ、やはりホームで戦うメンタリティも影響してくることを実感。全体の傾向として女子がオンバランス、オフバランスを使い分けながら男子を利用して踊る、言い方を変えれば男子が女子をいかに踊らせるかというルーティン構成や意識が随所に見られたように思う。またベーシックに基づかない突飛なアクションは鳴りを潜め、ベーシックステップやベーシックムーブメントの延長にあるバリエーション(タイミングや回転量の変化)を好んで使用する傾向も感じられた。

中国の選手もレッグワークやフットワークはヨーロピアンの選手に比べて引けを取るものではないが、一歩に賭けるエネルギーの量だとか、アッパーボディの柔軟さからくる空間の大きさの違いなどで差が出ているのではないか。

最後のジャイブでは皆スタンディングオベーションでそれなりの盛り上がりを見せフィナーレを迎えたが、最前列のホワイトテーブルに18万円かけて座るほどの価値があるかと言えば疑問符がつく。




もし日本のファイナリストレベルの選手が出場していたなら、セミファイナルやファイナルに十分食い込めたのではないか。世界の主要ジャッジがずらりと揃う中で良い踊りをアピール出来るのであれば、十分にチャレンジする価値のあるようにも思われる。初年度に付いていたWDCやWDCALのロゴは無くなり、仕掛け人であるドニーバーンズ氏やサミーストップフォード氏も不在の中、果たして来年以降もこのイベントが続くのか分からないが、百聞は一見にしかず。日本の選手にも是非挑戦してもらいたいとの思いを胸に帰路についた。


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